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2.七灌頂について(ダライラマ十四世の説法)

最初に受ける七灌頂は、修業者であるあなたの不純な身体と心を浄めるために行われます。  血や肉でできた身とその中に包み込まれた精神は、生まれた時代、場所、社会制度、育てられた環境、教育、躾、などによって一定の枠に固定されてしまっています。  あなたが目にすること、耳にすること、感じること、身のまわりで起こる全てのことがらは、それはあなたの先入見というフィルターを通して、あなたが見た、聞いた、感じた、あなただけの現象にすぎません。  人によって当然、生まれも育ちも違うのですから、同じものを見ても、同じ現象と映らないでしょう。  これでは本当の真実が見れません。  これまでの汚れた身体と心を浄めるため、福智の善根を蓄積しなければなりません。そのための道や方法は数多くあります。  カーラチャクラに入門するあなたは、この生起次第の段階でこれを素速く達成できるのです。 あなたは、この七灌頂でカーラチャクラを父とし、カーラチャクラと抱擁するヴィシュバマーターを母とし、その子供として生まれ変わるために、その子供のようにして七灌頂を受けるのです。  この過程で用いられる曼陀羅は、あなたの観想に必要不可欠な重要なプログラムです。   このプログラムに従って、あなたは汚れのない清浄な曼陀羅の世界、曼陀羅の諸尊を観想しながら、あなたの身体、心の汚れ、固定観念を取り除いて、本尊と同じ清浄な身体、心に近づけていくのです。  そして究極的には、あなたの身体に”光明”を実現するのです。
  詳細に云うと、
 
となります。
本尊の性的な歓喜として表現される”大楽”の根源的な意識の集合とその要素を想像しなさい。
以上の七分類、三十六種の現象は、本尊の身・語・意・大楽の四に分類されます。  生起次第の修行の効果をあげるための基盤づくりとなるこの七灌頂は、以上に相当する三十六種の修業者の現象を本尊のそれに純化していくプロセスでもあるのです。

身(しん)・語(く)・意(い)・大楽はカーラチャクラの四つの顔に対応します。  そのため、修業者は灌頂を受けるとき、マンダラの四方向の門より入って中央のカーラチャクラの四面のそれぞれに向かいます。身に関する二つの灌頂つまり、水と宝冠の灌頂は、白色の顔に面して受けます。 次に語に関する二つの灌頂、鉢巻と金剛杵と金剛鈴の灌頂は、赤色の顔に面して受けます。 次に意に関する二つの灌頂、指導と命名の灌頂は、黒色の顔に面して受けます。そして最後に大楽の許可の灌頂は、黄色の顔に面して受けるのです。
マンダラには、
・立体構造のマンダラ
・絵に描かれたマンダラ
・砂マンダラ
などの種類がありますが、カーラチャクラ七灌頂では、砂マンダラのみ用いられます。

2-1.水の灌頂

五仏母をもって授与される水の灌頂は、五大(地・水・火・風・空)を浄化し、母親が生まれたばかりの赤児を洗うのに喩えられます。五大は誕生した赤児、五仏母は母親、水の灌頂は赤児を洗うことに相応します。

2-2.宝冠の灌頂

五仏をもって授与される宝冠の灌頂は、五蘊(色・受・想・行・識)を浄化し、子供の頭頂に髪を巻き上げるのに喩えられます。 この灌頂では、頂髪の形をした冠が頭の上に置かれます。 これは、インドで慣習的に行われた、父親が男の子の髪の毛を頭頂に結い上げることに相応します。

2-3.鉢巻の灌頂

 十明妃(シャクティ)をもって授与される鉢巻の灌頂は、十の<風>を浄化し、召使いの女性が子供の耳たぶに孔をあけ、装飾品を吊り下げるのに喩えられます。

2-4.金剛杵と金剛鈴の灌頂

カーラチャクラとウィシュヴァマータをもって授与され金剛杵と金剛鈴の灌頂は、左と右の脈路を浄化し、これは子供の笑い声とお喋りに喩えられます。 また、カーラチャクラとウィシュヴァマータは、子供に一番最初に話しかける両親にも喩えられます。 身体には三つの主要な脈路があるとされます。 中央の脈路【avadhuuti】は、前頭(額)から頭頂を走り、背骨のやや前方に沿って性器まで降下しています。 臍より上では<風>が流れ、臍より下では精液が流れています。 中央の脈路【avadhuuti】の左右にも二つの脈路【lalanaaとrasanaa】が通っています。 この二つの脈路は臍で交差し、左右が入れ替わります。 臍より上の【lalanaa】は精液、【rasanaa】は血、臍より下の【lalanaa】は尿、【rasanaa】は便が流れているとされます。 これら三つの脈路を流れる<風>は、語(く)の基本となるもので、これらの浄化は語(く)の浄化となるのです。

2-5.指導の灌頂

十二菩薩と十二菩薩女をもって授与される指導の灌頂は、六つの感覚能力(六根)とその対象(六境)を浄化し、子供が喜ぶ五つの欲しがるもの(欲界の特性…喜ばしいもの・眼に見えるもの・音・香り・味・触れられるもの)に喩えられます。

2-6.命名の灌頂

十二の忿怒尊と十二の忿怒尊女をもって授与される命名の灌頂は、六つの身体の器官とその作用を浄化し、子供の名付けに喩えられます。 この灌頂の終わりの段階でラマは弟子に彼の本尊を告げます。 その故にそのラマは子供に命名する親に喩えられます。

2-7.許可の灌頂

金剛さったと般若波羅密母をもって授与される許可の灌頂は、至福に満ちた根源的な意識を浄化しカーラチャクラの教義を教えることを、父親が子供に教育や躾をするのに喩えられます。 (2000/4/1記)

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